CMD(Craniomandibular Dysfunction:顎関節・頭蓋・頭頚部の不調和)や筋骨格系障害を有する患者さんの治療では、COPA(Craniomandibular orthopedic positioning appliance:顎関節整形ポジションアプライアンス)と呼ばれる可撤式スプリントをまず装着して痛みをとり、筋肉のこわばりをほぐしていきます。そして、COPAを調整しながら、下顎頭を痛みやこわばりのない生理的な位置、つまり、顎関節を不快症状のない位置に導いていきます。これには、3-6カ月程度かかります。不快症状のない顎位が決まったら、今度は、その顎位で上下の歯がきちんとかめるように、マウスピース矯正を開始していきます。

顎関節症の患者さんの治療では、スプリントと呼ばれるマウスピースを作成し、症状が出たときだけ対処療法を行うことが多いのですが、この治療は、顎関節症を根本から治すことができる可能性があります。(顎関節症の中には、下顎頭自体の強い変形による痛みなどCOPAでは治せない病態もあり、術前のCTやMRI等を使った診断が大切となります。)

この治療方法は、2010年にドイツのSchupp先生により、以下の論文で世界で最初に報告されています。

Schupp W,Haubrich J,Neumann I.

Invisalign(Ⓡ)treatment of patients with craniomandibular disorders.

Int Orthod.2010 Sep;8(3):253-67