歯並びの変化を事前シミュレーション可能

クリンチェックというインビザライン矯正専用の歯の移動シュミレーションソフトがあります。

クリンチェックは、歯肉と歯冠だけで構成されています。そのため、クリンチェック上で歯を動かした場合、お顔に対して前歯が傾いているとか、スマイルした時に前歯がどのように見えるかは分かりません。

口元、歯並びの審美というものは、お顔に対して口があり、スマイルに対してどのように歯が見えるかということが極めて大切です。歯が綺麗に並んでいても、クリンチェックだけ見ていては、このレベルで審美(見た目)の美しさを達成することは出来ません.

そこで、光学スキャナーで読み込んだ歯の情報(STLデータ)に、CTから得られた骨と歯根の情報(DICOMデータ)とお顔やスマイルの2次元情報(JPEG)や3次元情報(SNAP)をマッチングさせて、患者さんの顎骨の中で安全に歯を動かしてコンピューター上で歯並びを改善します。改善後のお顔や口元の最終的な仕上がりを患者さんに確認して頂き、矯正治療のゴールを患者さんとともに決定してから当院では矯正治療を行なっています。

例えば、出っ歯(上顎前突)を治したい患者さんに、治療後のお顔と口元、笑った時のスマイル・歯の見え方がどうなるかを2次元、3次元でお見せすることができます.出っ歯の治療で抜歯をするかどうか悩む場合でも、抜歯をした場合、しない場合のお顔と口元、スマイルを比較して見てもらって抜歯するかを決めてもらうことが出来ます.

具体的には、Nemoというソフトを使います。ソフト上で歯を移動させると、歯根も同時に移動します。このときに、歯根が骨から逸脱しないように移動することが大切です。歯(歯根)は骨の中でしか移動できませんから、スマイルからベストな歯の位置を決定したとしても、歯根が骨から飛び出してしまうような位置には歯は動かせません。DSDから決定した審美的な歯の位置に、本当に歯を移動することができるかどうかを、レントゲンCTから得られた骨と歯根のDICOMデータと光学スキャナーから読み込んだ歯のSTLデータをマッチングさせ検討していきます。

インビザラインのクリンチェックでは、歯を移動させても、歯根が骨から逸脱していないかを確認することが出来ません。歯の移動の予測実現性が50%という理由の多くがここにあると思います。

つまり、歯根の形や骨の状態を全くわからないで歯冠だけ動かしていては、思った通りに動かないことがあるということです。

3次元(立体)CT撮影による精密検査

歯を動かすためにはあごの骨の形や厚みを正確に把握する必要がありますが、通常のレントゲンは2次元(平面)で撮影されますので、あごの厚みまでは確認できませんので3次元(立体)CT撮影が必要になります。

当院ではこのCTのデータをNEMOに取り込むことにより、あごの骨の形を正確に診断して、歯を抜くか・抜かないかの判断や歯の移動の予測に役立てています。