TAD(Temporally Anchorage Device)とは、ミニスクリューなどを骨の中に埋入して固定源を強化するものです。固定源とは、歯を動かすときの土台となる足場のことです。TADなしの場合、固定源は歯になります。固定源が弱いと、動かしたい歯の反作用で固定源となる歯が動いてしまうことがあります。そうすると、歯の移動が計画通りとならず、矯正治療がうまくいきません。

下顎大臼歯のように固く厚い骨に囲まれた歯では、マウスピースだけで予知性をもって移動できるのは2mm程度と言われています。例えば、治療計画上、下顎大臼歯を4mmと動かしたいとします。

TADなしでは、その移動はかなり難しくなりますが、TADを埋入できればそうした移動も可能になります。このように、TADがあることで治療計画の幅が広がり、治療自体も計画した通りになる確率が高くなります。