マウスピース矯正の落とし穴

「審美的」 「痛みが少ない」 「ブラッシングしやすい」
これだけでも、十分検討の余地がある治療法にもかかわらず
メリカの矯正専門医の中でも、抜歯矯正や上顎前突や下顎前突などでは、

第一選択として、マウスピース矯正を選ぶ先生はまだまだ少数派です。

具体的には、第一選択としてマウスピース矯正を選ぶ割合は、アメリカの矯正専門医の場合、

小臼歯4本抜歯ケース、上顎前突ケース、下顎前突ケースで、それぞれ

6%、33%、30%となっています(下記論文参照)

2020JCO Study of Orthodontic Diagnosis and Treatment Procedures part 1 Results and Trends

ROBERT G,KEIM,DDS,EdD,PhD

DAVID S.VOGELS Ⅲ

PHLIP B.VOGELS

それもそのはず、2021年のAJODOに掲載された以下の論文によるとインビザラインのクリンチェック通りに歯が動くかの正確性は50%と報告されています。

Has Invisalign improved? A prospective follow-up study on the efficacy of tooth movement with Invisalign
Nada Haouili, Neal D.Kravitz, Nikhilesh R.Vaid, Donald J.Ferguson, and Laith Makki
American Journal of Orthodontics and Dentofacial Orthopedics September 2020•Vol 158•Issue 3

インビザラインとは、世界で最も行われているマウスピース矯正の方法で当院もインビザライン矯正を行なっています。

数々の特許を持つインビザラインでも、クリンチェックで立てた画通りに歯が動くかというとその予測実現性は、わずか50% !!!

これでは、矯正専門医が否定的な意見を持つのも頷けます。

私は、尾島賢治先生に師事し、インビザラインを学んでいます。

尾島先生は難症例も含め、全ての症例をインビザラインで治療しており、その実績から毎年多くの海外からの招待講演を行なっています。

尾島先生から学び、わずか50%の予測実現性を少しでも上げるための当院の取り組みがNEMOというソフトを使った【デジタルスマイルデザイン(以下DSD)と骨と歯根とのマッチング、さらにはインハウスアライナーと加速矯正】です。

クリンチェックというインビザライン矯正専用の歯の移動シュミレーションソフトがあります。

クリンチェックは、歯肉と歯冠だけで構成されています。そのため、クリンチェック上で歯を動かした場合、お顔に対して前歯が傾いているとか、スマイルした時に前歯がどのように見えるかは分かりません。

口元、歯並びの審美というものは、お顔に対して口があり、スマイルに対してどのように歯が見えるかということが極めて大切です。歯が綺麗に並んでいても、クリンチェックだけ見ていては、このレベルで審美(見た目)の美しさを達成することは出来ません.

そこで、光学スキャナーで読み込んだ歯の情報(STLデータ)に、CTから得られた骨と歯根の情報(DICOMデータ)とお顔やスマイルの2次元情報(JPEG)や3次元情報(SNAP)をマッチングさせて、患者さんの顎骨の中で安全に歯を動かしてコンピューター上で歯並びを改善します。改善後のお顔や口元の最終的な仕上がりを患者さんに確認して頂き矯正治療のゴールを患者さんとともに決定してから当院では矯正治療を行なっています。

例えば、出っ歯(上顎前突)を治したい患者さんに、治療後のお顔と口元、笑った時のスマイル・歯の見え方がどうなるかを2次元、3次元でお見せすることができます.出っ歯の治療で抜歯をするかどうか悩む場合でも、抜歯をした場合、しない場合のお顔と口元、スマイルを比較して見てもらって抜歯するかを決めてもらうことが出来ます.

具体的には、Nemoというソフトを使います。ソフト上で歯を移動させると、歯根も同時に移動します。このときに、歯根が骨から逸脱しないように移動することが大切です。歯(歯根)は骨の中でしか移動できませんから、スマイルからベストな歯の位置を決定したとしても、歯根が骨から飛び出してしまうような位置には歯は動かせません。DSDから決定した審美的な歯の位置に、本当に歯を移動することができるかどうかを、レントゲンCTから得られた骨と歯根のDICOMデータと光学スキャナーから読み込んだ歯のSTLデータをマッチングさせ検討していきます。

インビザラインのクリンチェックでは、歯を移動させても、歯根が骨から逸脱していないかを確認することが出来ません。歯の移動の予測実現性が50%という理由の多くがここにあると思います。

つまり、歯根の形や骨の状態を全くわからないで歯冠だけ動かしていては、思った通りに動かないことがあるということです。

さらに、このようにネモを使って骨と歯根をみながら、慎重に歯の移動計画を立てても実際には、やはり思った通りに動かないことがよくあります。そうしたトラブルに活躍するのがインハウスアライナーであり、TADであり、従来のブラケット矯正も含めた矯正の知識です。

インハウスアライナーとは、「検査から診断、治療計画の立案、さらにはマウスピースの製作」を外注せず、完全に院内で行うというものです。利点としては早い。計画通りの移動を行いやすい。ということなどが挙げられます。

また、矯正期間中の痛みを少なくしたり、治療期間を短縮するために、追加料金がかかりますが、加速矯正装置を併用することが出来ます。

(★詳しくは、加速矯正装置の記事を参照してください。)

 

以上、同じインビザライン矯正といっても、当院は他院とは違う独自の取り組みがたくさんあります。是非、一度ご相談ください。

マウスピース矯正の注意事項

アライナーは1日2022時間装着してください。7~10日毎に次のアライナーに交換

歯にアタッチメント(白色。稀に薄い青色。)を治療中のみ接着します

ほとんどのケースで歯の隣接面の削合(IPR・ジスキング)が必要となります。

費用について

初診相談(3Dプリントとモックアップ) 5000+

矯正終了の状態を、ざっくりと3Dプリントとモックアップまたはアウトカムシュミレーションでお見せします。治療期間・費用など大まかな概略を説明いたします。その後、当院スタッフがインビザライン矯正に必要なことの説明をします

精密検査 3万円+

初診相談後、矯正治療を希望される方への検査です。

顎関節異常の触診、早期接触・顎位の検査診断、光学的スキャン、CT撮影(顎関節・頭部X線規格写真・セファロ・パノラマ・気道)・口腔内写真・顔面写真・会話時の口元の動画 等

精密検査結果相談 3万円+

アイテロという光学スキャナーで読み込んだ歯の情報(STLデータ)に、お顔やスマイルの情報(JPEG)やお顔や口元の3次元データをSNAPというソフトでとりこんだ情報をマッチングさせて、歯を動かした後のお顔や口元の最終的な仕上がりを患者さんと共に決定してから当院では矯正治療を行なっています。

例えば、出っ歯(上顎前突)を治したい患者さんに、治療後のお顔と口元、笑った時のスマイル・歯の見え方がどうなるかを2次元、3次元でお見せすることができます.出っ歯の治療で抜歯をするかどうか悩む場合でも、抜歯をした場合、しない場合のお顔と口元、スマイルを比較して見てもらって抜歯するかを決めてもらうことが出来ます.

矯正治療料金

インビザライン全顎矯正     97-117万+税

インビザライン部分矯正      62-87万+税

1カ月ごとの処置料金 0+/1

(アライナーの適合確認や調整・交換、装置の試適・指導、必要に応じた検査・相談、急患対応を含む)

※アンカースクリューは135000+

保定装置料金 3万円+

少しでも長く綺麗な噛み合わせを保つために保定装置を使用します。但し、完全に綺麗な噛み合わせを保つことは不可能です。

矯正の定期検診(メインテナンス) 5000円+税/30

保定前後期中(動的矯正治療後2年半)は矯正の定期検診(メインテナンス)として、少なくとも半年毎に来院ください。

少しでも噛み合わせの安定を望むのであれば、2年半以降も矯正の定期検診(メインテナンス)をお続けください。その都度、同様の費用がかかります。