# 形状記憶アライナーとは? 従来のマウスピース矯正と何が違うの?
こんにちは。今回は、形状記憶アライナー(シェイプメモリーアライナー)について詳しくご説明します。この最新の矯正装置について理解を深め、従来のマウスピース矯正との違いを知ることで、ご自身に合った矯正方法を選ぶ参考にしていただければと思います。
## 形状記憶アライナーとは?
形状記憶アライナーは、2022年にアメリカ矯正歯科学会(AAO)でGraphy社より発表された最新のマウスピース型矯正装置です。アメリカFDAの承認を受け、2024年2月には日本の薬事認証(PMDA)でもMedical Class 2を取得しました。つまり、安全性と効果が正式に認められた製品となります。
## 形状記憶アライナーの特徴
### 1. 形状記憶機能
最大の特徴は「SHAPE MEMORY(形状記憶)」機能です。60度程度のお湯で軟化し、体温になると記憶された形に戻ります。この特性により、装着と取り外しが容易になりました。
### 2. 優れた適合性
研究によれば、歯やアタッチメントとの隙間は従来のアライナーでは240ミクロンに対し、形状記憶アライナーでは80ミクロンと約3分の1です。この適合性の向上は製造方法の違いに起因します。
従来法:3Dプリンターで模型を作成し、その上からシートを圧接
形状記憶アライナー:3Dプリンターで直接アライナーをプリント
### 3. メンテナンスのしやすさ
• 煮沸消毒が可能です
• 着色しにくい素材です
• 使用するレジンはISOの毒性テストをクリアしています
• アレルギー反応の心配がありません
## 患者様にとってのメリット
### 1. 痛みが少ない
セントルイス大学の矯正歯科チームの研究によると、従来のアライナーに比べて約9分の1の矯正力で歯を動かせます。つまり、矯正時の痛みを大幅に軽減できるのです。
### 2. 治療期間の短縮
形状記憶アライナーでは一枚のアライナーで0.35mm、3°までの移動が可能です。これは従来型の約1.3倍の動きになります。つまり、治療期間が短縮されるのです。
### 3. 装着の容易さと快適性
お湯で軟化できるため、患者様自身による着脱が楽になります。また、適合性が良いので装着感も向上しています。
### 4. アタッチメントの必要性減少
アタッチメント(歯に付ける小さな突起)が少なくて済むケースが増えました。これにより、見た目の違和感や清掃性の問題が軽減されます。
### 5. リアセスメント(再評価)の効率化
従来のアライナーでは、リアセスメント後に新しいアライナーをお渡しするまで1〜2か月かかっていました。形状記憶アライナーでは10-14日に短縮されています。これにより、治療の微調整が迅速に行えるようになりました。
## リアセスメントの重要性
アライナー矯正では「アンフィット」と呼ばれる現象が生じることがあります。これはマウスピースと歯の間に隙間ができてしまう状態です。効果的な治療のためには、定期的なリアセスメント(再評価)が必要です。
当院では2〜3か月ごとに再評価を行い、必要に応じて新しいアライナーを作成しています。形状記憶アライナーを使用することで、この再評価後の新しいアライナーをより早くお渡しできるようになりました。
## 形状記憶アライナーの製作環境
質の高い形状記憶アライナー治療を行うためには、適切な設備と知識が必要です。当院では以下の設備を整えています:
1. 光学スキャナー(iTero等)
2. CT
3. 3D顔貌写真撮影装置(RAY FACE)
4. 矯正治療計画を立てるソフト(NEMO)
5. 高性能3Dプリンター(Graphy社純正)
## 装着時間と効果的な使用法
形状記憶アライナーも、従来のアライナーと同様に1日20〜22時間の装着が理想的です。つまり、1日のうち外していい時間は2〜4時間です。
歯を動かすには持続的な力が必要です。例えば観葉植物が光の方向に曲がっていくように、歯も持続的な力によって理想の位置へと動いていきます。
### 装着時間を確保するコツ
忙しい方のために、「日中装着キープ術」をご紹介します:
1. 朝食後、歯磨きをしてアライナーを装着する際、泡状の歯磨き粉(チェックアップフォーム等)をアライナー内に入れて装着します
2. 昼食時もアライナーを付けたままにします
3. 食後は水でよくすすぎます
4. 夕食前には必ずアライナーを外し、しっかり歯磨きをします
## 治療期間をさらに短縮する加速装置
アライナー矯正の治療期間をさらに短縮するために、加速装置を併用することもできます。代表的なものには以下の2種類があります:
### 1. オルソパルス(光加速装置)
近赤外線によって歯周組織のリモデリングを活性化させる装置です。1日10分(上下各5分)の使用で、マウスピースの交換間隔を7日から3日に短縮できます。つまり、治療期間が約50%短縮される可能性があります。
### 2. V-Pro(振動加速装置)
振動によって歯の移動を促進する装置です。1日1回5分の使用で、マウスピース交換の間隔を短縮できます。上下の歯で装置を軽く噛むだけの簡単な使用法です。
## まとめ
形状記憶アライナーは、従来のマウスピース矯正に比べて多くの優位点を持っています:
– 痛みが少ない(従来の約1/9の矯正力)
– 治療期間が短い(約1.3倍早く動く)
– 適合性が良い(隙間が約1/3)
– 装着感が良い
– リアセスメント後の待ち時間が短い
あなたに最適な矯正方法を選ぶためには、歯科医師との詳しい相談が必要です。ご自身の口腔内の状態や生活スタイル、治療の目標などを考慮して、最適な治療計画を立てることが大切です。
矯正治療について、さらに詳しく知りたいことはありませんか?お気軽にご相談ください。


